一般公開セミナー「ひとり・がたり―公害の記憶と記録の交差地点から―」
日本の「公害」には、現在に語られる環境危機の先例が満ちています。高度成長期には全国の産業地帯で環境問題が露わになり、その被害の記憶と記録物が今も各地に残ります。この会では、公害事件を写し残すさまざまな痕跡を振り返り、今の我々が向き合う社会的課題にそれらをどう生かせるのか、参加者各々の「かたり」を通して考えてみます。
◆2月16日(金)は、研究者が登壇し、公害記録の研究活用を考えるワークショップを行います。写真家・豊田有希氏によるトークも予定しています。
◆メインイベントとなる2月17日(土)は、ゲスト講師・金澤敏子氏(1951年生 富山県在住)による「ひとりがたり」講演を行います。金澤氏は北日本放送アナウンサーを経て、テレビ・ラジオのドキュメンタリーを40本あまり制作され、近年はイタイイタイ病訴訟で原告患者の筆頭になった小松みよ氏の生涯を「ひとりがたり」として伝えています。水俣病資料館語り部の杉本肇氏とのトークセッションもございます。
※ プログラム等はチラシPDFをご覧ください
※ 大学構内の駐車場は有料です、できるだけ公共交通機関をご利用ください
【日 時】令和6年2月16日(金)15:00〜18:30/ 2月17日(土)13:30〜16:20
【場 所】熊本大学黒髪北地区 文法棟1階 A3教室(熊本市中央区黒髪2丁目40番1号)
【対 象】一般の方(興味がある方はどなたでも)
【参 加 費】無料、予約不要
【主 催】科学研究費補助金事業 基盤研究(A)22H00036「21世紀における他者の痛みの交差性」代表:慶田勝彦(熊本大学)/ 基盤研究(B)22H00613「環境汚染と映像の詩学」、若手研究19K12989「水俣病の「記録」と映像表現」代表:洞ヶ瀬真人(福山大学)
【協 力】熊本大学文書館、熊本大学キャンパスミュージアム推進室、
熊本大学大学院人社系国際人文社会科学研究センター学際領域
【ゲスト講師】金澤敏子さん
1951年生まれ。富山県入善町在住。北日本放送アナウンサーを経て、テレビ・ラジオのドキュメンタリーを40本あまり制作。絵本『みよさんのたたかいとねがい』などイタイイタイ病をはじめ、米騒動、泊・横浜事件に関する著書多数。近年は、イタイイタイ病訴訟で原告患者の筆頭になった小松みよさんの苦難に満ちた生涯を「ひとりがたり」として伝えている。本講演では富山弁をまじえ、患者の苦しみ、悲しみ、怒り、イタイイタイ病と闘い続けた小松みよさんの66年の人生を紹介する。
【イタイイタイ病について】
四大公害病の1つ。明治の終わり頃から、岐阜県にある神岡鉱山の三井金属神岡鉱業所からの排水に含まれるカドミウムによって汚染された飲み水や米を通じ、富山県の神通川流域の住民が被害を受けた。主として年配の女性に多く発生し、重金属のカドミウムが体内に蓄積すると腎臓障害を起こし、骨が軟化し折れやすくなる。患者が「痛い、痛い」と激痛を訴えたことからその名がつけられた。2022年、患者認定制度による201人目の患者が確認された。