チッソ水俣病関西訴訟関係資料 寄贈に関する覚書調印式 9月15日(火)
このたび、本館にて「チッソ水俣病関西訴訟関係資料」のご寄贈を受入れる運びとなりました。チッソ水俣病関西訴訟資料調査研究会様とチッソ水俣病関西訴訟を支える会様より寄贈に関わるご申請を頂き、本覚書調印式をもって主な手続きを完了いたしました。
両会の皆様とご協力頂いた関係者の皆様に謹んで御礼申し上げます。
資料は来年度4月以降、大阪電気通信大学様より本館へ移管されます。移管作業にも大変な労力がかかることが予想され、その準備をひきつづき協力し進めてまいります。
本資料群は、1982年大阪地裁へ提起された国賠訴訟「チッソ水俣病関西訴訟」の原告(不知火海周辺地域からの移住者)、チッソ水俣病関西訴訟を支える会、チッソ水俣病関西訴訟資料調査研究会の横田憲一氏らを中心に作成・収集・保管され、訴訟・調査研究・著作執筆に用いられてきたものです。横田氏もメンバーであった支える会が作成・収集・保管してきた関西訴訟関係資料が主であり、関連する運動団体関係資料も含まれます。裁判資料、裁判関係の参考資料、横田氏著『水俣病の病態に迫る』(2017 随想舎)執筆に用いられた参考文献や作成資料、雑誌・書籍、ビラ・チラシ、のぼり等のモノ があるということです。
目録化されている資料(記述レベル:簿冊)が2500点程、文献資料が2000~3000点程、そのほか未整理資料が150箱程と考えられます。
2004年最高裁判決後、支える会の要請により資料整理・管理を担う調査研究会(資料保管拠点:大阪電気通信大学)が発足されました。本資料群の寄贈は、資料の永続的保管と整理・公開を望む支える会の了承を得た調査研究会より熊大文書館に申請されました。
原告団、弁護団、医師団及び支える会で構成する「チッソ水俣病関西訴訟」訴訟団の活動は、1995年政治決着を拒否し、国と県の法的責任、水俣病患者としての認定、そして被害への適正な補償を求め続け、環境庁による1977年判断条件とは異なる<水俣病>を司法の場で認めさせた点で事件史において大きな意味を持ちます。とりわけ、水俣病の病態について同控訴審判決では浴野成生氏の意見書が採用され、「メチル水銀中毒による感覚障害の原因は、主として大脳皮質が損傷されることにあると推認される」とされました。関西訴訟提起以降、原告らがどのように思考し活動を行ってきたのか、詳細な過程を解明し今後の<水俣病>調査研究に活かす上で極めて貴重な資料群です。
本館ではウェブ公開の準備ができた目録から順に公開し、資料を一般に供します(原則としてご来館頂く形での利用になります 現時点では資料複写の郵送や電子媒体での送付は行っておりません)。企画展でもテーマとして取り上げていきたいです。
A 覚書調印式 記念撮影
B 小田先生 調印
C 山田館長 挨拶
D 電通大 調査研究会資料室
E 文書館側の様子
F オンライン取材中
G オンライン取材中
14:00〜15:00
チッソ水俣病関西訴訟関係資料寄贈 覚書調印式
※ 敬称略
調印式開催の辞(司会:香室 結美)
資料の概要紹介(小田 康徳)
大阪電気通信大学長(大石 利光)のご挨拶
熊大文書館長(山田 秀)のご挨拶
双方出席者の紹介
覚書への署名と調印 文書の相互確認
記念撮影 式の終了
E号館4階資料室および資料紹介
質疑・応答、今後の作業予定等、相互報告
15:45〜16:30 オンライン取材
【調印式出席者】
●チッソ水俣病関西訴訟資料調査研究会代表/大阪電気通信大学 名誉教授
小田 康徳 おだ やすのり
メンバー
小田 直寿 おだ なおひさ
その他 1名
●チッソ水俣病関西訴訟を支える会
代表 庄野 久子 しょうの すさこ
●大阪電気通信大学
大阪電気通信大学長/医療健康科学部 教授
大石 利光 おおいし としみつ
共通教育機構人間科学教育研究センター 教授
平沼 博将 ひらぬま ひろまさ
●熊本大学文書館
館長/熊本大学法学部 教授
山田 秀 やまだ ひでし
併任教員(水俣病関係資料担当)/熊本大学大学院人文社会科学研究部(文) 教授
慶田 勝彦 けいだ かつひこ
特任助教
香室 結美 かむろ ゆみ
(写真提供:A B D 大阪電気通信大学,
C E F G 熊本大学文書館)